― ダ ニ ―

 ダニの仲間は、日本だけで1800種も発見されています。しかし、ダニ、ダニと毛嫌いされていますが、悪い事をするダニはほんの一部なのです。

 ダニの多くは土壌中に住んでいます。森では枯れ葉や枯れ枝などの有機物の分解のために働いて、環境保全にも大いに役立っているのです。堆肥の生産にもダニの力は欠かせません。また人間に悪い事をするダニや、植物に害のあるダニを捕食する仲間もいて、この性質を利用して、植物のダニ被害を防ぐ方法もあるくらいです。


マダニ・・・・イヌ、ネコなどから吸血しますが、ときに       は人も刺します。

イエダニ・・・ネズミにつくダニです。ネズミが居なくな       ってお腹がすくと、仕方ないから人間から       血をもらうのです。


コナダニ・・・食品や室内にいる主なダニ。畳について畳       の縁が
白く粉をふいたようになって騒が       れますが刺したりしないので人に迷惑を       かけません。


ツメダニ・・・人を刺すとか刺さないとかで問題になって       いるのがツメダニです。ペットにもつきま       す。しかし、この仲間はチリダニ類を捕食       するので、易ダニの一種とも考えられます。

                           

昔から居たものがなぜ近頃になって大騒ぎされなくてはならないのでしょうか。
なぜ、近々数十年のうちにこんなに悪役を演じなければならなくなったのでしょうか?

ダニはちっとも変っていません。昔からダニはダニ。

ダニに悪役の役どころを与えたのは人間のほうが変ったからです。

食物、環境汚染、特に住居内環境汚染と密閉型生活習慣などの人間側の変化がその理由として考えられるのではないでしょうか。

―アレルギーの主役ヒョウヒダニの生態―

至適温度・・・・・・ダニは卵生です。ヒョウヒダニは、およそ1〜2ヶ月で成虫になり寿命も1〜2ヶ月と報告されています。至適温度は25〜30℃くらいで、人の生活に快適な温度で増殖し、活動が盛んになります。

至敵湿度・・・・・・重要なのは至敵湿度です。湿度条件によって生存可能かどうか決まるからです。チリダニの体重の70〜80%が水分ですが、水を飲むことができず、空気中の水分が体表面から出たり入ったりしています。ヒョウヒダニにとって一番適した相対湿度は70〜73%と報告されています。

食事・・・・・・・・カビの胞子は、人間にとってのパンやお米です。ここで注意すべきは、相対湿度70〜73%付近を好適湿度とする好乾性カビが多いと、これらのダニも多くなるということです。なんといってもヒョウヒダニは名前のとおり、人やペットの表皮の落屑したもの、つまり「ふけ」がなくてはならない大好きな食事なのです。

住まい・・・・・・・ヒョウヒダニの住まいはどうなっているのでしょう。人やペットの生活しているところならどこでも住んでいます。もっとも好きな住まいは、室内塵(ハウスダスト)がたまっているところです。ふかふかのほこりのベッドで快適に過ごしています。毛布、布団、枕、カーペット、畳の表や裏、自動車の座席や学校の床にもたくさん住んでいます。平均的な家庭のカーペットには1uあたり約4gの室内塵が堆積しており、この中に約3300固体のダニが数えられ、そのうち生きているダニは約770個だったとの報告があります。

ヒョウヒダニが大量に居る場所として、どの対策書にも布団、毛布、カーペット、畳についで、ぬいぐるみ、ソファがあげられています。
(森谷清樹著「家の中のダニ」)

室内塵・・・・・・・人が生活する住環境の中で発生し、空気中に分散して浮遊したり、床に堆積しているほこりを室内塵(ハウスダスト)と呼びます。人やペットから出るふけや毛の蛋白質、羊毛の繊維、綿や紙の繊維、土など、多種多様な成分が室内塵には含まれています。室内塵は室内に住む微少な生物の餌と住み家となり、その成分の時代の変化によって、生物も移り変わっていきます。現在、室内塵に住む生物の主なものは、ワラジムシ、ダンゴムシ、ゲジ、ゴキブリ、シミ、ノミ、チャタテムシ、クモ、そして多種多様なダニ類、カビ、細菌などがあげられます。




「OMソ―ラ―ハウスとダニアレルギー」

岐阜市およびその近郊の住宅   1〜4月に調査

OMソーラーの家では床暖房をしているよきは、室内の空気が入れ替わっています。空気中に漂う室内塵は外部に流出しますから、ダニの餌になるカビの胞子などが少なくなり、ダニの生存を脅かします。これがOMソーラーの家に住むとアレルギーがよくなったといわれる大きな理由のひとつです。

―ダニが住みたくない家にするには―

 (1)床と畳              

 ダニの生活できない家とはどんな家でしょうか。まず第一に、無垢の木の家、合板を使っていない家です。無垢の床材で、畳の下も無垢の木で、その上に畳が敷かれていることです。無垢の木にはフィトンシッドという働きがあるからです。
「フィドンシッドとは、Phytonは植物の意味、cidは殺し屋で、つまり樹木からの自然に蒸発する揮発性物質(テルペン類)のことです。これに防虫殺菌防腐効果があることはよく知られています。そのうえ鎮静作用をもつ芳香があるので、森林浴などとよばれていることはご存知でしょう。」

 畳が古くなったから取り替えようとか、ダニがついたから新しい畳にしようという話をよく聞きますが、新しい畳のほうがダニの食物が豊富ですから、じつはダニが住みやすいのです。 それならばダニ殺虫剤によって防ダニ処理をしたら、防虫紙を敷いたら、と考えるところですが、確かに目に見えるダニや人を刺すダニは居なくなりますが、普通のダニ殺虫剤に対して、ヒョウヒダニは強く、ヒョウヒダニを捕食するダニは弱いのです。つまりダニ殺虫剤でヒョウヒダニは駆除できないばかりか天敵も居なくなるので、どんどん繁殖することになります。また防ダニ処理や防虫紙には農薬系の殺虫剤を使うことが多いので、これによる化学物質過敏症を見過ごすことはできません。

(2)ダニにとっての住み心地

 畳やカーペットがダニの普通の住まいなら、枕、毛布、布団、マットなどは豪華な邸宅です。ペットの毛布や小屋などは別荘感覚です。ときにはカーテンなどのリゾートホテルへ出かけます。日が射さない押入れやクローゼットの隅、家具の下や壁との隙間などは、静かで安全な産院です。ダニはフカフカの綿ぼこりのなかで産卵します。孵化したら、カビの胞子などもあり、赤ちゃん食も豊富ですから、すくすくと育ちます。

(3)加熱・乾燥

 チリダニ類は60℃以上の高温では、約1時間で死滅するといわれています。しかしヒョウヒダニがついていて、60℃以上の高温にできるものはそんなにたくさんありません。しかし湿度に弱点があります。ヒョウヒダニは相対湿度60%以下では、長く生きてはいられません。駆除の要点の一つは乾燥です。

(4)換気・調湿

 屋内湿度の調整を主体とした、換気・冷暖房はなんといってもダニ駆除の基本です。それでもダニは住みつきます。しかも年中、家の中の隅々まで、理想的な湿度を保つことは難しいことです。

(5)ダニに食事を与えない

 ヒョウヒダニの好物は人やペットの「ふけ」です。そしてカビも主要な食事です。合板やコンクリートの上に畳を敷き、冬なら炬燵。そこで食事やお菓子を食べて、テレビを見ながらゴロ寝。冷暖房をかけて窓は閉め切りとなれば、これはダニの天国です。

(6)住みついたダニの駆除

 しかし、どんなに努力してもヒョウヒダニがまったく居ない家にすることは至難の技です。たとえ新築の家でもヒョウヒダニは住んでいます。むしろ新築の家のほうがたくさん居ることもあります。 

掃除・・・・・・掃除はヒョウヒダニ駆除のスタートです。しかし、ただ簡単に掃除機で
        畳やカーペットの上をなでるようなやり方では、ヒョウヒダニはとれま
        せん。あちらこちらから1u四方を最低1〜3分しっかり吸いとりまし
        ょう。


殺虫剤・・・・・前述したよういに、ダニ殺虫剤はヒョウヒダニに対して逆効果になりま
        す。殺虫剤や防虫剤の毒性についても考慮する必要があります。特にア
        レルギー体質の方にとっては注意すべきことの一つです。ヒョウヒダニ
        駆除に有効な精油のひとつに、多量のシネオールという主成分を含んだ
        ユーカリプタスオイルがあります。これはオーストラリア南部でしか生
        育しないブルーメリー種の葉から採取したものです。清涼で透明で純粋
        なよい香りのエッセンシャルオイルです。森林浴すなわちフィトンシッ
        ドの効果があります。この精油はアレルギーそのものの症状を軽くする
        作用もあり、安全性も高いので、喘息やアレルギー性鼻炎に対しての使
        用が盛んになりつつあります。日本でも最近簡単に入手できるようにな
        りました。
             日本薬局では「ユーカリ油」と記載していますが、英語ではユーカリオ
        イルという単語はなく、ユーカリプタスオイルといいます。
            (eucalyptus oil)

(7)寝具の乾燥

 寝具はヒョウヒダニの大都会です。
人間の汗で水もたっぷり、温度も快適、ふけもいっぱい。
寝具の扱いはヒョウヒダニ駆除の最大テーマです。

駆除の方法としては、第一番に陽に干すことで、このとき陽の当たる側は十分に効果がありますが、中心部や陽の当たらない側にも配慮してください。要は卵の目玉焼きと同じです。陽の当たる側がフライパン側になるわけで、反対側はそれほど焼けません。また羽毛布団は高温によって羽毛が変質することがあるので、直射日光に干せません。加熱よりも乾燥が大切です。


 ヒョウヒダニが死滅する温度の60℃は、お湯なら手を入れていられないほどの高温です。炎天下の車の屋根にでも干せばともかく、外気温30℃以上の夏の直射日光に干しても、たたんで干した毛布の内部は30〜34℃、日陰面は30℃前後にしかなりません。ヒョウヒダニは毛布の日陰側や中心部にもぐり込んで涼しい顔をしています。ヒョウヒダニ駆除について書かれたものによく出てくるのですが、布団の上に黒い布やビニールをかける方法は、温度を高くするのが目的のように思われます。しかし、布団全体が60℃以上になるでしょうか。ぴったりビニールをかけたらかえって湿度が下がりにくく、逆効果のように思われます。

 高密度織物の布団カバーやシーツは、ダニを通過させないのでかなり有効ですが、シーツに包まれた布団や枕の中身にはダニが居ます。やはり陽に干して乾燥させる必要があります。陽に干してから取り入れる前にはよく叩いたり、回転ブラシつきの布団用掃除機を1u当たり3分以上しっかりかけましょう。ダニは死んでも死骸や糞がアレルゲンとなるからです。寝巻き、枕カバー、毛布やタオルケット、シーツなど洗濯できるものは、こまめに洗いましょう。枕カバーの代わりにバスタオルで枕を包めば、毎日でも取り替えられます。乾燥機で高温がかかればいいのですが、できないときはユーカリプタスオイルを入れて洗います。クリーニングから戻ってきて袋に入っている衣類や寝具も、使う前には陽に干す必要があります。防虫剤などの化学物質を揮発させる意味もあるからです。

 陽に干す目的は、太陽の熱そのものが有効なのではなく乾燥させることにあります。この点を考えたサンバックという干し物袋があります。特殊加工の布製の大きな袋で布団も入ります。中に入れた寝具に花粉がつかないので、花粉シーズン中でも布団や毛布が安心して干せますし、太陽の当たらない面も乾きます。またヒョウヒダニや花粉の対策を考えた枕も開発されています。 

 また布団を敷いたり、ベッドメーキングするときに空気中に舞い上がるほこりに対しても注意を怠ってはなりません。窓やドアを完全に開放して作業し、終わってからも十分に換気してください。布団やベッドの上で、ばたばた遊んだり寝室で着替えをしないようにしましょう。

お医者さんが書いた住まいの本 服部芳樹+伊藤英門:共著 海象社